『トゥルー・ミディアム』 糸川洋 著 Kindle→こちら
アメリカ在住のミディアム、ジョージ・アンダーソンのリーディングやインタビューをまとめた電子書籍を読みました。
こちらの本は『死者は語る ― 魂をゆさぶるリーディングの奇跡』に『WE DON'T DIE』(1991年、光文社刊、糸川洋訳)の「訳者あとがき」「訳者によるインタビュー」を加えたものです。
なんとたったの200円です。ミディアムやミディアムシップに興味がある人は是非読んでみて欲しい内容です。
『死者は語る ― 魂をゆさぶるリーディングの奇跡』の原本は既に高値のようですし、33年前の本ですから紙質もかなり古くなっているはず・・・。このような形で読めるのは本当にありがたいことです。
私はこのジョージ・アンダーソンというミディアムを本書を読むまで知らなかったのですが、91年、92年と二度来日し日本人のリーディング(行なっているのはミディアムシップのようですが本書ではリーディングと書かれているので倣います)も多数行っているので当時はかなり話題になったのかも知れません。ミディアムというと英国が本場のイメージですが、アメリカにも定期的に素晴らしいミディアムが登場しますね。
全編を通して感じたのはジョージ・アンダーソンというミディアムの誠実さです。こうした本はどうしてもドラマチックさが加味されていることが少なくなく、出版社だって売れない本を出したくないでしょうから仕方ないのかも知れませんが、結果ミディアムやサイキックの神秘性ばかりが強められ、さまざまな誤解を生む発端の一つになっているとも感じます。
本書のなかでジョージ・アンダーソンがクライアントに対して行っているリーディングの様子ややりとりは、プライバシーにかかわること以外はかなり忠実に脚色なく書かれているように読んでいて感じます。だからこそ彼の類稀な力が伝わってきて、読み物としての面白さを加えなくても十分に面白い内容になっています。
ただし念の為書いておくと、本書のなかでジョージがどのように霊を感じとっているかははっきりとは書かれていません。しかしこのことに関して彼自身「これをどう説明したらいいかわかりません、とても奇妙な現象なんです‥」と語っています。これは誤魔化しではなくミディアムシップを学んだ人なら理解できると思います。
受け取るとはそんなに簡単に説明できるものではなく、肉体を越えた視覚や聴覚や感覚が複雑に混ざり合いながら来るからです。そしてそれはリーディングよって強まったりよくわからなかったり変わったりすることもあるからです。
私が最も感動したのは、彼が死や生や霊の存在について、世間の様々な宗教的・霊的価値観について語っている章でした。彼の発言は本当にまっとうで地に足が着いていて、共感できる箇所がたくさんありました。
「霊的(スピリチャル)に優れた人というのは、魂の奥底から、他人や自分にとって善いことだけを求める人のことです」と語る彼は自分を特別に見せようともしていないし、自分の考えをしっかりと持っていて、私はこういう人はシンプルに人間として大好きなのです。