サニーブレイン(楽観脳)になる秘訣

さて、最近私はエレーヌ・フォックスという心理学者・神経学者の書いた『脳科学は人格を変えられるか』という本を読みました。日本語のタイトルはやや堅苦しく、そしてこの本に書かれていることとも少しズレているように思います。原題は『Rainy Brain,Sunny Brain』、雨降り脳とお天気脳、というタイトルで、悲観的な人と楽観的な人にはどのような違いがあるか…ということを、心理学や脳神経学の働きなどから比較的わかりやすく説明している内容です。

 

この本によると、実は殆どの人は「どちらかというと楽観的」なのだそうです。根拠もなく「まあなんとかなる」「自分はなんとかやれる」「自分は生き延びる」といった楽観的バイアスをかけなければ、世の中や人生は生きていられないくらいの不安と恐怖でいっぱいの場だからです。

 

しかし本当の意味での「楽観の達人」は、いつもただ上機嫌でいるというのとも、単に「こうなってほしい」と期待しながら生きるのとも違う、“打たれ強い心を持つリアリスト”の事だと書かれています。

 

楽観主義者たちは快楽に貪欲な人達で、それが生きる意欲に繋がっていますが、本当の楽観主義者は快楽に貪欲なだけでなく意義深い生活を送っており、良いことも悪いことも受け入れる能力があり、かつ「自分で状況をコントロールできる」という気持ちを持ち続けられる人達。自分の運命は自分でコントロールできると意識の底で信じ、たとえ全世界から拒絶されているように感じても、「やれば、できる」という、不屈の精神を持つ人達のことを指すと。

 

「ポジティブに思考する力」だけでなく「ポジティブに行動する力」を持つ人達。言うまでもなく、世界中の成功者、社会を改革した人達にあるのはこうした楽観脳で、それは、単にハッピーな気持ちでいることでも、「すべてはうまくいく」とひたすら信じることでもないと書かれています。

 

既に書いたように殆どの人は「どちらかというと楽観的」で、サニーブレインです。それに、ただのハッピー思考が本当の楽観ではないことも、理解していると思います。また、サニーブレインとレイニーブレインの根底にある回路は、脳の中でもいちばん可塑性が高い、変化しやすい部分で、悲観的になったとき、自分の気持ちに「かならずしもそうではないかも知れない」など逐一ラベリングをしていくなどシンプルな方法で、変えていくことも可能だそうですよ。